自衛隊の演習場は広い草原になっていて,ほぼ真中あたりに中くらいの大きさの浅い池があります。何時の日か演習場の上の森で開かれた野鳥の観察会に参加して,ヤイロチョウのポポピー,ポポピーという鳴き声を聞き（残念ながら姿は見ることができませんでした）サンコウチョウの青い目と長いしっぽを観察したあと,帰りにみんなでこの池に立ち寄りました。池では無数のホソミオツネントンボが三角藺に産卵していて,初めて見る私には夢の世界のようでした。この年は,それから毎週この池に通って夢中でトンボたちを撮りました。７月になるとホソミオツネントンボやホソミイトトンボはほとんど姿を見せなくなりましたが,代わりににキイトトンボが現われて私を楽しませてくれました。
今日も胴長をはいて池の中でトンボたちを捜していると,水面から少しだけ顔を出した三角藺につかまって,羽化を始めたばかりのキイトトンボをみつけました(自信がなかったので,虫友に写真を送って確かめました。♀だそうです）。イトトンボたちは体が軽いのか上半身を出しても反り返ることはなく立ったまましばらく休んだあと,草につかまってそのまま下半身を抜くようです。
「水上の世界は広し風と波」
この写真は日本写真企画で作った初めての写真集「小さな仲間たち」に納めました。